情報確認日:2026年9月24日
Microsoft 365 Copilotの料金・機能・利用条件は変更されることがあります。契約前に公式サイトをご確認ください。
Excelが仕事の中心になっている人は少なくありません。
SUMIFSやXLOOKUPを使い、IF関数を組み合わせ、ピボットテーブルやグラフも自分で作れる。毎月の集計も、すでに問題なく回っている。
そんな人ほど、ExcelにAIが入ったと聞いても、こう思うのではないでしょうか。
関数を使える自分にも、AIは必要なのだろうか。
関数が分からない人を助ける機能ではないのか。
結論から言うと、AIは関数が使えない人を助けるだけのものではありません。関数を使える人が、作業の先にある分析や判断へ早く進むためにも使えます。
一方で、初心者がAIを使えば、すぐ熟練者と同じ仕事ができるわけでもありません。AIで縮まりやすいのは「操作の差」。業務を理解して設計し、結果を確かめる力には、依然として経験差が残ります。
関数が使える人にとって、AIは何を変えるのか
Excelに慣れている人は、欲しい数字を出す方法を知っています。ただ、実務では集計したあとにも仕事があります。
- どの切り口で比較するか考える
- 売上が落ちた店舗や商品の共通点を探す
- グラフを何種類か作って見せ方を比べる
- 数字から読み取れることを上司へ説明する
- 分析結果をWordやPowerPointの資料へまとめる
ここにCopilotなどのAIを使うと、「この関数はどう書く?」だけでなく、「前年から大きく変化した項目は?」「地域別に比較すると何が見える?」と、目的から作業を始めやすくなります。
関数が使える人は、AIが提案した数式の参照範囲や条件も確認できます。つまり、これまで身につけたExcelの知識は不要になるのではなく、AIの出力を安全に使うための強みになります。
初心者+AIは、熟練のExcel派にどこまでかなう?
答えは、仕事の種類によって変わります。
差が縮まりやすい仕事
元データがきれいで、やりたいことが明確な単発作業なら、初心者でもAIの支援を受けて形にしやすくなります。
- 前年比を計算する数式を作る
- 条件に合うデータを抽出する
- 基本的なグラフやピボットテーブルを作る
- 数式の意味やエラーの原因を説明してもらう
- 表から気になる傾向の候補を挙げてもらう
この範囲では、初心者が一人で調べながら作業するより、完成までの時間を大きく短縮できる可能性があります。見た目だけなら、熟練者が作った表に近づくこともあるでしょう。
経験差が残りやすい仕事
一方、実務で難しいのは数式を作ることだけではありません。
- 何を集計すれば判断に役立つか決める
- 空白、重複、表記ゆれ、例外データを見つける
- 集計範囲や計算条件が正しいか検算する
- 翌月も壊れずに使える仕組みにする
- 他の人が修正・引き継ぎしやすい表を作る
- 数字と現場の出来事を結びつけて判断する
AIは、もっともらしい数式や説明を出しても、会社独自の締め日や返品処理、特殊な商品区分までは自動では理解できません。初心者は、間違いに気づくための基準をまだ持っていないこともあります。
| 比較する仕事 | 初心者+AI | 熟練者 | 熟練者+AI |
|---|---|---|---|
| 基本的な数式・グラフ作成 | ○ 差を縮めやすい | ◎ 速く正確 | ◎ 作成も確認も速い |
| 毎回違う分析を試す | ○ 指示次第 | ○ 操作に時間がかかる場合も | ◎ 切り口を素早く試せる |
| 複雑な集計設計 | △ 見落としに注意 | ◎ 経験が生きる | ◎ 設計と試行を両立 |
| 検算・例外への対応 | △ 判断基準が必要 | ◎ 違和感に気づきやすい | ◎ AI案も検証できる |
| 業務上の判断 | △ 現場理解が必要 | ◎ 経験を反映できる | ◎ 分析から判断へ進みやすい |
AIは初心者を一気に熟練者へ変えるものではありません。ただし、初心者が操作で立ち止まる時間を減らし、学びながら実務へ近づく速度は上げられます。
そして最も力を発揮しやすいのは、初心者+AIよりも、業務とExcelを理解した熟練者+AIです。
関数・Power Query・Copilotは競争相手ではない
Excel業務では、どれか一つを選ぶより役割を分けると分かりやすくなります。
| 仕事 | 向いている手段 |
|---|---|
| 複数ファイルを集め、毎月同じ形に整える | Power Query |
| 決まった条件で正確に計算する | Excel関数 |
| 分析の切り口を変えて試す | Copilot |
| グラフや説明文のたたき台を作る | Copilot+Excel |
| 定型集計のあとに毎回違う分析をする | Power Query+関数+Copilot |
例えば、毎月10店舗から届く売上ファイルはPower Queryで結合・整形し、決まった指標は関数で計算します。そのうえでCopilotに、「前年より売上が落ちた店舗を示して」「商品別に共通点を探して」「会議用のグラフ案を作って」と頼みます。
Power Queryでデータを整え、関数で正確に計算し、AIで分析と説明を速める。
この分担なら、Excel派が積み上げてきた力を捨てずにAIを加えられます。
Copilotを追加しても変わりにくい仕事
次のような仕事は、無理にAIを追加しなくてもよいでしょう。
- 毎月同じファイルを同じ方法で集計する
- 既存の関数やPower Queryで処理が完成している
- 入力・閲覧が中心で、分析する機会が少ない
- AIの結果を確認する時間や担当者を用意できない
定型処理では、毎回AIへ指示するより、再現できる仕組みを一度作る方が安定する場合があります。「新しいから使う」ではなく、今どこに時間がかかっているかで判断することが大切です。
また、Microsoft 365 Copilotは契約プランや個人・法人の違い、アプリの更新状況、会社の管理設定によって利用できる機能が異なります。Excelだけでなく、WordやPowerPointなどでも使うかを含めて費用対効果を考えましょう。
Excel派がAIを試すなら、まず一つの仕事から
いきなり月次集計全体をAIへ任せる必要はありません。まずは会社の利用ルールを確認し、架空データや機密情報を含まない表で、次のような小さな仕事を試します。
- 自分で作った数式をAIに説明させる
- 同じ結果を出す別の数式を提案させる
- 売上表から分析の切り口を三つ挙げさせる
- 自分の分析結果とAIの提案を比べる
- 会議で説明する要点のたたき台を作らせる
数式や集計結果は、従来の方法や少量のデータで照合します。AIへ顧客名、個人情報、未公開の売上などを入力してよいかも、自己判断せず会社のルールを確認してください。
生成AIを使っても仕事が楽にならない場合は、ツールではなく業務の流れに原因があることもあります。ChatGPTを使っても仕事がラクにならない理由も参考になります。
まとめ|AIで縮まるのは操作の差。その先は人の力が残る
初心者+AIは、基本的な数式やグラフ作成などでは、熟練のExcel派との差を縮められます。しかし、複雑な集計の設計、例外への対応、検算、業務判断まで同じ水準になるとは限りません。
一方、関数を使える人にとってAIは、これまでの技能を奪うものではありません。
関数が使えない人を助けるだけのAIではない。
関数を使える人が、作業の先にある分析や判断へ早く進むためのAI。
毎月同じ処理が負担ならPower Query、決まった計算なら関数、分析や説明に時間がかかるならCopilot。自分がExcelのどこで時間を使っているかを確認し、必要な部分だけAIに任せるのが現実的です。
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